(審査有) 本研究は、公共図書館の利用を阻んでいる要因を、これまであまり用いられなかったアンケート調査の自由回答から抽出し、潜在利用者の非利用要因のセグメント化の基準を模索することを目的としたものである。
方法は、まずwebモニタ調査の中から、公共図書館の非利用者を抽出した。次に,非利用者の「公共図書館に行かない理由」(自由回答)を抽出し,その回答の内容分析を行った
「客観的・一般的測定尺度」では,居住地域,ライフステージ,家族のライフサイクルを基準とするセグメント化ができることが明らかとなった。「客観的・行動特性的測定尺度」では,過去の行動と意思決定での役割を基準とすることができることが示された。「推測的・一般的推定尺度」では,個人の価値観,性格,ライフスタイル,心理を基準とするセグメントが考えられるという結果が得られた。「推測的・行動特性的測定尺度」では,BCOS要因のC(コスト)つまり代償によるセグメント化が可能であることが明確となった。
また、今回の結果から、図書館の利用や非利用を決定する要因となる変数は、短絡的な構造でなく、重層的なものであるということが示唆された。