本稿では,公共図書館と社会関係資本との関連を検証した。具体的には,先行研究をもとに,二つの目的において分析を行った。一つ目は,日本の都道府県データをもとに,「公共図書館」と「社会関係資本」の関連の再検討を試みた。人口千人あたりの公共図書館数,人口千人当たりの資料費,登録率,人口を独立変数とし,社会関係資本の指標を従属変数として,重回帰分析を行った。その結果,二つの社会関係資本の指標において,公共図書館の変数がプラスの効果となることが示唆された。二つ目には,「読書」と「社会関係資本」の関連について日本の状況を確認した。この分析では,二つの間に有意な関連を見出すことはできなかった。今後は,さらに全体的な社会関係資本形成のモデルの構築や,質的調査も交えた検証が重要である。