図書館情報学における社会調査の例と図書館をめぐる動向について概要を示した後、実際の公共図書館のデータを利用した分析を試みた。図書館情報学では、以前から図書館統計を用いた評価の方法と事例がある。本稿では、八王子市が継続的に行っている利用者満足度調査の結果をもとに、分析を行った。複数ある館の結果を考察すると、「資料の充実」と「開館時間」について重要度と満足度の差が大きかった。また、重回帰分析により、「資料の充実」の満足度に影響を与える変数として、「本の探しやすさ」の満足度が有意なプラスの効果を持つ傾向が確認された。今後の課題としては館毎の特徴をふまえた分析や、満足度に影響を与える要因を検討する際に、変数の選択を吟味し、最適なモデルを構築することが挙げられた。