若林茂則,木村崇是,ジョン・マシューズ,秋本隆之,穂苅友洋,山崎妙,大滝宏一
本研究では,27名の英語母語話者と20名の台湾語母語話者を対象に,英語の主語と動詞の(不)一致に関する敏感さを自己ペース読みタスクを用いて調査した.その結果,台湾語母語話者は「人称」の不一致(例:{I/you} *likes ...)に対しては、その非文法性に対して反応できたが、「数」の不一致を含む誤り(例:They *knows ...)については反応できなかった.この結果は,日本語話者を対象とした先行研究(例:Shibuya & Wakabayashi, 2008)と一致しており,この結果は,「人称素性」と「数素性」が統語派生に導入される過程の違い(人称素性は名詞句に内在されるものだが、数素性は統語派生ごとに随意的に導入されるもの)を反映したものであると論じた.