本研究では、英語をL2とする学習者の言語処理が統語情報などの文法知識を反映したものかどうかを検証するため、「付加詞の島」に違反する移動を含む関係節文に対するリアルタイムの言語処理過程を解析した。英語母語話者(n=15)、フランス語話者(n=11)、日本語話者(n=17)を対象に、付加詞の島違反を含む文をそうでない文と正しく区別して判断できた実験文を抽出し(cf. Hokari, 2019)、それらの文のリアルタイムの文処理過程を比較したところ、どのグループも同様の言語処理過程を示し、付加詞の島の違反が明らかとなる箇所で読み時間の遅れが見られた。この結果から、L2学習者は、目標言語の母語話者と質的に同等の言語処理能力を獲得できることが示された。