日本語母語話者が英語受動文を習得する際に、日本語では許されるが、英語では許されない間接受動文(例:私は息子に泣かれた vs. *I was cried by my son)を容認してしまう。この誤りが母語の転移によるものか、そうであればどの性質を転移させているのかを調べるため、日本語母語話者から得たデータを、受動文の性質が異なる仏語を母語とする英語学習者から得たデータと比較した。その結果から、この誤りは日本語の受動形態素「ラレ」の転移による誤りだが、日本語でも目標言語でもない学習者独自の文法規則が関係することも明らかにした。