本研究では、文字のみから英文の内容を把握することが困難な学習者にとってリスニングを用いた「概念駆動型アプローチ」はテクスト理解の足場づくりとなることを明らかにした。このアプローチでは、文字から「データ駆動型(data-driven)」で始めるのではなく、音声インプットを複数回与えながら「概念駆動型」の授業を進めると、学習者が自分の持っている背景知識も活かしながら、「概念の活性化」「推論する力」などを働かせ、自ら内容を把握しようとする。そこからテクストを読む動機が高まる。最終的にはリスニングによる「概念駆動型」アプローチはテクストの内容理解の足場づくりになると考えられる。リーディングによる内容理解にとって重要なのは、背景知識の役割、推論、新しい情報を既知の知識と統合することである。また、この「概念駆動型」アプローチは、教室での活動において、英語力を問わず学習者を主体的参加者(active participants)にするという点でも意義がある。