カフェー黎明期においては、カフェーという最先端の店で働く女性たちを新しい職業として見るむきもあった。彼女たちは経済的な困難を抱えた女性たちであったが、客たちが彼女らに向けるまなざしは、境遇への同情はあるものの蔑みを帯びてはいなかった。ところが、客と恋愛関係になる女性給仕が増えてくると、世間の女性給仕に対する評価が変化した。カフェーという業態が広く一般にも認知されるようになると、カフェーの女性給仕という職業が認知されるようになっていった。カフェーという近代味を帯びた新しい飲食業であっても、酒を提供する飲食空間で給仕をする女性たちへのまなざしは、料理屋の女中たちや酌婦へのまなざしが絡み合っていた。