昭和初期の流行語「イット」にみる働く女性たちへのまなざし
跡見学園女子大学観光コミュニティ学部紀要『観光コミュニティ研究』
第3号
昭和初期の流行語「イット」は、「性的魅力」という意味を持つ当時の隠語である。もともとは1927年公開のアメリカ映画「IT」から派生した言葉であるが、1930年頃になるとその意味の範囲が拡大され、働く女性たちを批評する際に用いられるようになっていった。「イット」の言説分析は、女性が人前に立つ職業につきはじめた当初から性的なまなざしの対象となっていたという問題を浮き彫りにした。