本稿は、観光地・消費地としての渋谷と対象とし、「広域的商業集積地は、単なる商業の中心地という役割に留まらず、先端的な消費者が集まり,店舗側もそれに応えるという相互作用によって新たな商品・サービスを産み出すイノベーションの発生源という役割も担っているのではないか」という仮説を検討する。これが成立するためには、第一には歴史的に様々な分野の商業が発生していること、第二にそれらが消えることなく何らかの形で残っていることが必要である。本稿はこのような立場に立ち、秋葉原を事例として商業集積を歴史的な視点から検討する。また、前述の役割を担うことが広域的商業集積地の形成過程とどのような関わりがあるのかを明らかにした。