本研究は、観光の対象となることが多い都市部を主な対象とした、情報技術・製造技術の高度化に伴い発生した新たなリスクに対する行政の対応について検討した。情報・生産技術の発達によって産まれた製品・サービスは、人々の生活を便利にする一方で、悪用も容易となるという負の側面をも持つ。このようなリスクは、リスクが顕在化した際には大きく注目されるが、新たな事件の発生等で人々の関心が他に移ると急速に失われ、それらへの対処を難しくする。また、利便性の向上と悪用を目的とした転用の容易さは表裏一体であり、規制に対して賛成を得ることは簡単ではないという問題点も有する。本稿ではこのような点を踏まえ、社会が抱える新たなリスクに対する行政の対応について検討した。