本稿は、東アジアにおけるメガ・スポーツイベントの開催過程を社会学的に探究する経験的研究である。現在、オリンピックは規模拡大に伴う開催都市の負担増という問題を抱えている。にもかかわらず、オリンピックの東アジア開催が続く。なぜ東アジアの都市は、大きな負担がかかるオリンピックをみずから進んで引き受けるのか。メガ・スポーツイベント研究は、北米およびヨーロッパの事例研究が多く、アジアの事例に関しては研究蓄積が不足している状況である。本稿はこのギャップを埋めるために、東アジアでオリンピックを始めとするメガ・スポーツイベントが、地域開発の契機として位置づけられてきたことを明らかにする。最後に、平昌オリンピックの準備過程を事例として分析し、メガ・スポーツイベントを契機とした地域開発が抱える構造的な困難を明らかにする。