日本で農業労働者として働くフィリピン人、とりわけ厳しい自然環境の中で「伝統的」に農業を営んできた北部ルソンの先住民の多くが日本に農業技能実習生として「出稼ぎ」に来ているという事実に注目し、その困難な現状と、それでもなお彼らを日本に向かわせる動機について明らかにした。その結果、たまたま良い条件で働ける人的ネットワークや情報をもっていない限り、学歴や資格のない貧困に喘ぐ先住民たちが見出した飛躍の機会である技能実習は、多くの場合、次なる飛躍のために耐え忍ぶことが必要であり、他のフィリピンの国際移民労働者と比べ、「自由をよこせ」「権利をよこせ」と叫ぶことができるような状況にはまだ至っていないことが明らかになった。