19世紀末から第2次世界大戦が終わるまで、人類学者の多くが、列強諸国の植民地支配や占領の手助けをするために雇用され、植民地で人類学的調査を行ったが、日本では「植民地主義」の問題が日本近代史で重要な位置を占めるにもかかわらず、人類学からの研究の蓄積は少ない。そこで、「大東亜共栄圏」の建設が希求されていた時代、その占領地域で日本人人類学者がさまざまな活動を行っていたが、ここではスペイン、アメリカ、日本による300年以上にわたる植民地支配と占領を経験したが、その社会的状況が他の地域とは異なるフィリピンでの人類学者の活動に注目し、その動向や活動内容を明らかにし、日本とアメリカの研究とを比較することでフィリピンと日本との歴史的関係性を再検討した。A5版。