三吉朋十と土俗学
『九州産業大学国際文化学部紀要』
第70号
フィリピンで「土俗(人類学)研究」を行った土俗学の権威である三吉朋十の研究について、土俗学の戦前の歴史とアジア太平洋戦争との関係および「土俗」という用語のもつ政治性について明らかにした。戦時下、三吉は戦争遂行のために「学術動員」され、フィリピンの土俗の情報を発信する役割を担うようになったが、そこには差別的な眼差しが多く見られつつも、先住民族の文化の重要性を説いており、アジア太平洋戦争という時代の制約の中で、自身の土俗学を貫いたことがわかる。B5版。