学術論文

基本情報

氏名 加美 甲多
氏名(カナ) カミ コウタ
氏名(英語) kami kouta
所属 大学 文学部 人文
職名 准教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

名称

「無住マインド ―『沙石集』説話から見えてくるもの―」

単著、共著の別

単著

年月日

2024/12/10

発行所等

『同志社国文学』(同志社大学国文学科(専攻)創立70周年、国文学会創立60周年記念論文集)、同志社大学国文学会

出版社

巻・号

第101号

開始ページ

110

終了ページ

124

査読の有無

概要

無住は終始一貫して仏教という目的のため笑いを用いており、笑いを目的とした仏教説話ではなく、笑いを手段とした仏教説話なのである。そこに「乖離」は認められず、むしろ『沙石集』の特性なのである。そして、そこには「心」が確かにあった。「心」の在り方や作用により、笑いは笑話にも仏教説話にも変換される紙一重のものである。それ故に、無住は笑いの中で盛んに「心」を強調している。さらに、『沙石集』は書承の世界においてそれまでは誰も為し得なかった仏教説話と笑いとを結びつけたという点だけでも注目に値するが、読み手の「心」によって仏教説話と世俗説話とを往還させたという面でも大きな意義を有する。無住の説く「心」を正しく理解できた者だけが無住の意図に沿うという意味で『沙石集』を正しく読み解ける。