本研究では,女子大学生の友人関係と情動焦点型コーピングが,ストレス反応に与える影響について検討することを主な目的とした。調査対象者は4年制大学に所属する女子大学生110名であり,友人関係尺度,ストレッサー尺度,EAC尺度およびストレス反応尺度を用いたアンケート調査を行った。
まず,友人関係尺度とEAC尺度の平均点を基準に高群,低群の2群に分類し,ストレス反応に対する二元配置分散分析を行った。その結果,友人互助と感情表出の交互作用が認められ,友人互助高群における感情表出の単純主効果が有意であった。次に,友人関係とEACの各下位尺度,およびそれらの交互作用項,ストレッサーを説明変数,ストレス反応を目的変数として重回帰分析を行った。その結果,友人親和と感情表出の交互作用がストレス反応を高め,友人共感と感情表出の交互作用がストレス反応を低減させることが明らかになった。
これらのことから,情動焦点型コーピングは相手に感情を吐露するだけではなく,相手から共感してもらえたり,助け合ったりできる友人関係の中で用いることで,よりストレス反応の低減効果が高くなることが示唆された。