本論文では舞台芸術の創作現場においてドラマトゥルクが担う職責の1つであるコミュニケーションに着目し仲介者としてのドラマトゥルクの役割について明らかにした。その前段階として、ドイツにおけるドラマトゥルクの職能を確認し、ライプツィヒ音楽演劇大学の事例を参照しながらドイツ国内の高等教育機関におけるドラマトゥルク養成の在り方を論じた。続いて日本におけるドラマトゥルク受容の歴史を振り返り、日本においてドラマトゥルクは受容のフェーズから養成のフェーズへと移行していることを指摘した。その上でドラマトゥルクが持つ職責をプログラム、コミュニケーション、プロダクション、キュレーションの4つに分類し、その中でも可視化されづらいコミュニケーションに関する役割に着目して論じた。