日本画制作では、動物の骨格のフォルムを元にした半抽象的な画面構成を多く行なっていますが、写実的な表現も好きです。立体との合同の展覧会では、日本画を含めた様々な素材のインスタレーションを試み、作品と空間との関係を実験的に追求しています。空間表現へ伝統的な表装手法を生かしたり、日本画制作において東洋の「書」にも通ずるような「線描」表現を追求していきたい、AIやデジタル化の現代にあって、五感や手仕事の魂を伝え続けられるような芸術に一歩でも近づけるよう精進したいと思っています。また、美術の社会への働きかけとして、「日本画と臨床美術(脳を活性化し感性を解放する美術)を融合した創作実践研究」に取り組み、美術を現代人の幸福に生かしていく術を考えています。学生の皆さんには、自己の内面や画材と静かに対峙しつつ制作することによって他者へ深く共感する心をも涵養くださることを願っています。