人の心の問題が社会の大きな関心事になっている中で、跡見の美術実習(日本画)にどのような目的を見出せるかを考えることを目的に、2022年度秋学期の日本画画材を用いた2つの絵画実習について、アトリエの空気感や学生作品をじっくり味わい、学生自身による制作の振り返り記述を検討した結果、はじめ上手く描けるかの心配から、想うように描けばよいというような感性の解放や自己の発見に気づいていく様子がうかがえた。これらの検討をきっかけに、「人が絵を描くということ」、「上手い下手ということ」、「日本画であること」、「デジタル社会の中で」などについて美術関係者の言を援用しつつ考察を進めた。跡見の美術は、面白さに気づく、構築力、破壊と創造、文/理をつなぐ、透明な感性、身体感覚(五感)の覚醒…などに資するものと考えられた。