現代詩と写真 ――ジャック・レダ『パリの廃墟』における「写真」――
学習院大学人文科学研究所『HÉLIOGRAMME 2017』
本論考ではレダ『パリの廃墟』における、比喩としての「写真」の役割について論じた。20世紀になり、多くの詩人が音楽性よりも視覚性を重要視するなか、様々な作品のなかに「写真的視覚」が緊張をはらみながら浸透していくことになる。レダの作品も例外ではなく、『パリの廃墟』には「スナップショット的」視覚を見いだすことができる。しかし、本論文では、その視覚が写真的特徴を持つ一方で、「過去の現実の再現」から離れ、「未来に起きうるもの」を表象する役割を担っていることを示した。