現代詩人と世界――ジャック・レダにおける反特権の詩学――
学習院大学人文科学研究所『O-M 2011-2012』
ジャック・レダが目指す「反特権的詩人」のあり方を明確にし、フランス詩史のなかで、その特徴と射程を測ることを目指した。どの時代においても詩人は選ばれし者として特権化されてきたが、レダはその特権性を排した「世俗の詩人」を目指し、詩を様々な日常的な事物の声が響く「場」とみなす。本論考では、レダの詩学が、革命的であろうとする詩学が中心となる60-70年代の最中に、日常的な世界を歌う1980年代の「新抒情派」を準備するものであることを示した。