福島里美・麻生典子の共同研究。本研究は、里子の基本的信頼感を育てる里親のかかわりを調べることを目的に、小学生、高校生、成人の里子を育てる3名の里親に面接調査を行った。面接の逐語記録をもとに、各事例の記録を①子どもの行動、②子どもの気持ち、③里親の対応 という3つのテーマに分類し、KH Coderを用いてテキストマイニング分析を行った。各事例のテーマごとに頻出語を抽出し、共起ネットワーク図を作成した。その結果、小学生と成人の里子に対する里親の対応に共通点があり、いずれも里子が問題行動を示したときに、里親はその行動に対処しながら、里子の存在を「大切」だと肯定する言葉を伝えた。これは、里子の基本的信頼感を高めるのに有効だと考えられる。高校生の事例は、長期間不適切な養育を受けていた深刻なケースであった。この里子に対して里親は、耐える、待つなど、里子を脅かさない距離を保ち、慎重に対応した。