著者は中島史紗栄・福島里美。親の養育態度が、障害のある子ども(同胞)のきょうだい(きょうだい児)の愛着形成と同胞へのケア役割に及ぼす影響を質問紙で調べた。対象は、きょうだい児26名と、障害のあるきょうだいをもたない対照群24名、いずれも16歳以上である。その結果、きょうだい児に対する親の過保護な養育態度は、きょうだい児の自己観をネガティブにし、きょうだい児に対する親の非養護的な態度は、きょうだい児の他者観をネガティブにする可能性が示された。また、きょうだい児は、親から見捨てられるかもしれない不安を強く示した。自由記述の分析から、親が同胞だけではなくきょうだい児も尊重することで、きょうだい児の同胞に対する否定的感情が弱くなる傾向がみられた。