本稿は、「博物館の設置及び運営上望ましい基準」の制定・改訂過程を振り返り、日本博物館協会、行政、博物館学の関係を検討した論考である。1951年博物館法以来、理念として掲げられた「望ましい基準」が、現実には理想と現実の間で揺れ動き、館長資格や学芸員処遇など重要課題を十分解決できなかった経緯を跡づける。その上で、近年の博物館法改正やICOM新定義を踏まえ、博物館学が理念的指針を提示する必要性を強調し、館長規定、学芸員専門性、地域連携、デジタル化等を盛り込んだ新たな「望ましい基準」私案を提起している。