方言理解支援ツール『東北地方の外国人住民のための「くらしの方言集」』において採用したインドネシア語翻訳について、東北方言からの翻訳上の問題点を考察するために、翻訳した各単語についてインドネシア語翻訳者への聞き取り調査を実施した。その結果、東北方言からインドネシア語へ翻訳する際の言語学的な問題点には、「I 意味論的問題」として「I-a. 方言のほうがインドネシア語より意味範疇が広い」「I-b. 方言のほうがインドネシア語より意味範疇が狭い」「I-c. インドネシア語に適切な語がなく説明的になる」の3つの場合が存在し、「II 意味論以外の問題」として「II-a. 発音規則」「II-b. 人称」「II-c. 表現の対象」の3つがあることが明らかになった。