女性向けマンガで男同士の恋愛を描いてきた作品を対象に、1970年から2000年までを10年ごとに数量的に分析し、キャラクター像の変遷を論じた。90年代以降の作品の多くのキャラクターは、一見すると規範的な異性愛とジェンダー規範に従って描かれている。その点から多くの先行研究では、女性オタクの取るに足らないジャンルとみなされてきた。しかし本論文では、登場人物同士の関係性や描写の時代的比較をおこなうことによって、90年代以降の作品群が、旧来的なジェンダーを脱構築するような物語として引き継がれていることを明らかにした。