主たる学術研究は、近現代日本の書道史における展開と、その過程で生じた中国・台湾をはじめとする東アジア諸国との国際的な書道交流の実態解明である。技術的・理念的な影響関係や文化的交渉の具体像を資料に基づき検証している。書道教育については、従来の臨書中心の学習法に加え、創作作品の制作、教材の研究・開発、さらに産学連携による実践的教育プログラムの構築など、多角的な教育的アプローチを試みている。研究と並行して作品制作にも継続的に取り組み、日展・読売書法展などの公募展や日本書作院の社中展において成果を発表している。これらの研究・教育・制作活動を通じて、書道の歴史的意義を再評価するとともに、現代における芸術的・教育的可能性を探求し、書道を媒介とした教育・芸術・社会の連関に関する総合的研究を展開している。